十代大樋長左衛門の長男。現在、ロチェスター工科大学客員教授、日本文化デザインフォーラム会員等を務めている。

大樋年雄コメント

お城や茶室を造らない限り、本当の意味の左官技術を応用することができない今の世の中で、その技術をどうやって応用していったら良いか、これには、二つの方法があると思います。
若い職人が、アートという試みの中で、やっていくうちに、深みのあることが、昔の技術であるということに気付き、その技術を習得していくという方法。もう一つは、技術をマスターした職人が、アートとして、どうやって取り組んでいけるか、という二つの方法があります。
その技術というのは実は、今ほとんど求められておらず、形だけ良ければいいという世の中になっています。実は手で触ってみたら、その奥行きはどうだとか、建ってみたらどうだとかという感覚というものが我々は失いつつあると思います。
それを捕らえるのが、「左官アート」という技術であり、仕事ではないかと思っています。
（第2回左官アートコンペテシション審査員コメントより）