名工・名匠たち
世代を超えて受け継がれる伝統技術
卓越した技を持つ名匠・名工たちがイスルギの歴史の糸を紡いできた。
技能専門校を設立した創業者・半七
石動 半七
代々富山城に出入りしてきた左官「石動屋」の二男として生まれた創業者・石動半七は大正6年(1917)に独立、金沢の地で創業した。「いするぎのおやっさんの鏝使いは天才的」と称された半七は多くの弟子を持ち、自社に技能専門校を設立。数百人の左官職人を育成してイスルギの礎を築いた。
訓練校1期生の治夫
石動 治夫
半七の甥にあたる石動治夫はその技能専門校(当時の名称は技能養成所)の第1期生である。平成8年(1996)、「現代の名工」として「卓越した技能者賞」を受賞し、金沢市の石川県立歴史博物館、金沢城三十間長屋、高岡市の瑞龍寺(国重要文化財)を手掛けたほか、大阪城の壁の塗り替え工事にも携わった。伝統的な技術の習得のほか、ガラス繊維をセメントに入れ、加工しやすい壁材を作るなど新技術の考案にも力を注いだ。
金沢城復元工事に携わった中村
中村 康
治夫もまた、多くの後進の指導に尽力したが、その薫陶を受けた一人が平成14年(2002)、金沢市より「匠の技顕功賞」を贈られた中村康である。左官工法の技能・知識において日本屈指の存在で、平成11年(1999)に石川県技能士会理事、金沢職人大学校の講師に就任。平成13年(2001)には金沢城菱櫓・五十間長屋・橋爪門続櫓復元工事の左官工事総責任者に就任した。
技能五輪の金メダリスト銭丸
銭丸 肇次
平成11年(1999)、カナダ・モントリオールで開催された「技能五輪国際大会」で金メダルに輝いた銭丸(福村)肇次も治夫に師事した一人である。同大会での金賞受賞は石川県内で2人目、左官職種での受賞は全国で2人目(いずれも当時)という快挙を成し遂げた福村は当時、弱冠22歳の若者であった。
「現代の名工」に選ばれた平野
平野 甚九郎
平成28年(2016)に厚生労働省の「現代の名工」に選ばれた平野甚九郎は伝統工法の造詣が深く、神社仏閣での仕事に卓越した技能を発揮。金沢城橋爪門や河北門、五十間長屋などの復元工事に携わってきた。「復元しても数十年後にはまた補修が必要になる。自身が手掛けたものをいつか塗り替えてほしい」という願いを込めて、イスルギ付属技能専門校や金沢職人大学校で後進の指導に当たっている。
「平成の大修理」に携わった中田
中田 正起
姫路城(世界文化遺産・国宝)の「平成の大修理」の際、「白鷺城」と呼ばれる所以ともなった漆喰塗りの現場統括をしたのが中田正起である。このほか、金沢城菱櫓など数々の歴史的建造物の修復にあたり、その実績は全国でもトップクラスだ。平成29年(2017)には技能はもちろん、若手の育成・指導の功績も評価され、「現代の名工」に選ばれた。
さらに「全国左官技能競技大会」で優勝を果たした坂本仁志、松柳孝、松井準をはじめ、数多くの左官職人が技能表彰を受けてきた。こうして株式会社イスルギの名工・名匠たちが培ってきた伝統技術は世代を超えて受け継がれている。
技能表彰者
1996 | 石動治夫(元常務取締役)「現代の名工」に選出 |
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1998 | 第36回技能五輪群馬大会で銭丸肇次が1位獲得 |
1999 | 第35回技能五輪国際大会で銭丸肇次が金メダル獲得 |
2011 | 第44回全国左官技能競技大会で坂本仁志が優勝 |
2013 | 第45回全国左官技能競技大会で松柳孝が優勝 |
2015 | 第46回全国左官技能競技大会で北野智が準優勝 |
2016 | 平野甚九郎が「現代の名工」に選出 |
2017 | 第47回全国左官技能技術競技大会で松井準が優勝 中田正起が「現代の名工」に選出 |
2018 | 第56回技能五輪沖縄大会で津田彬輝が2位獲得 |